卒業設計のおはなし②
久しぶりに卒業設計のお話です。
さて「Amazonで家を売る」と言いましたが、お題をこれにした理由と原理をもう少し掘り下げたいと思います。
私は建築家と世間の意識の乖離が一向に直らないことに違和感を覚えています。
どういうことかというと、現在多くの公共的建築が日本各地にあり、唯一無二の建築物により地域の社会的活性化・結果的に観光地になることで経済的活性化する可能性を秘めた、ある意味強大な力を持っています。
それにより建築家というプロフェッショナルな方に依頼して(近年は自発的に建築する巨匠も多いですが…)巨大建築を建てています。しかし、住宅ではどうでしょう?住宅は一般的にマイホームが欲しいとなると、コスト・住み易さ・短期工期が重視され、ハウスメーカーが選択されることが多いです。
建築家というツールはそこまで魅力が無いように世間の人たちには映っているのでしょうか?最適解とまでは言えませんが、住む人の個性、生活パターンまで組み込んで建築家は設計し、住み易さを追求したプロフェッショナルです。
しかし、コスト面からみても手が届かない存在と認定されたら、もうお手上げです。近い将来、マイホームは低中所得層から建築家という選択肢が消えてしまう様な気がします。実際小規模のカスタマイズ(DIY含む)で気が済み、自分の理想の住宅に近づけることが出来るようになったため、建築家の必要性が大衆から失われているのもあるかもしれません。
しかし、50年後を見据えた建築業界と不動産の価値観が変わるシ新しいシステムをこの社会に加えたらどうなるか。まるでスマートフォンのような住宅。
[第五世代 ハードウェア+エレクトロニクス+ソフトウェア+インターネット+サービス¹]
建築家がデザイン又は一般の方が規定のなかで部屋の間取り・建築設備をカスタムできる自由度の高い1DKのボックス型住宅をAmazonというEC市場が『レビュー+中古』で売ります。
買った住宅は中銀カプセルタワーのような部屋ごと置換できるスケルトン(メタボリズム建築)にはめ込みます。
スケルトン自体はAmazon又は国(?)が管理し、建築家が地域に根付くを意識したプランの設計をします。
その後の日本は……
・引っ越しの時はその住宅をそのまま持っていき、その住宅は別地域のスケルトンにはめ込むだけ。
・普通の一軒家に住むことになったら中古としてAmazonに売り出す。
・一般の方がカスタムした住宅はブログに載せてトレンドになるかもしれない…。
・若手建築家がデザインしたボックス型住宅は一般にみられ、建築家の可能性の拡大にもなるかも。
どうでしょうか?建築家と世間の意識の乖離は直らないかもしれませんが、新しい価値観が生まれ、現在のような建築の捉え方では少なくとも変わることでしょう。
まだざっくりですが、この案の原理ですが修正し、高める価値がある。そう思ってます。(職種のジャンル問わず具体的な質問等も受け付けております!)
1:田川欣哉 渡邊康太郎 緒方壽人 (2014) 現代建築家コンセプト・シ
リーズ 18 takram design engineering | デザイン・イノベーションの
振り子 10-13.